僕は、この世界の通り相場では生きられない。社会通念や正義、普通に行われる他者からの気遣い、そして普遍的な家族の愛情ですら、時に恐怖であり、大きな脅威なので、稀に発狂して死ぬ様な思いをする。
しかし何も難しく考えず、この様な残酷な感情は単なる病気なのだと必死に捉え言聞かせ、耐える。思惟の全てを逃げ道に使用し、駆け込み寺にする。ここは貴方を守ってくれる寂れた寺。言聞かせる。しかし、結局は倒れる。ここには神が不在なのだと考える。次は神社か修道院か。阿弥陀なのかヴィシュヌなのかヤハウェなのか。
繰り返し彷徨い続け、気付けば不信仰になり、死骸だらけの暗渠に飛び込んでいて、そこで浚った鉄パイプを拾い、これで戦うしかないのだと考える。自分の代わりに戦う者などいない事を知る。しかしこれは自分の心なのだと思い出す。自分自身が敵である限り、戦う事も出来ない。
真っ暗で何もない場所で立ち尽くし、星空を眺め、ただただ自分の小ささに嘆く。そこに宇宙がある。これは自分の心だった筈だ。僕は宇宙だ。でも今井将は今井将に代わりないよ。それでも宇宙の様に僕の中には無限のものがあって、全てを吸収出来ると、前へ進めると思ったんだ。終わり。
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